一言で大道具の仕事とと言っても今はかなり間口の広い仕事の分野となっている。 デザインされた装置を作る大道具製作スタッフ、舞踊演劇等の劇場公演の舞台大道具スタッフ、 映像撮影のスタジオ大道具スタッフ、他にイベントなど実に間口が広い。
江戸時代の歌舞伎の発生から始まった大道具方、昔は今のような専門職も無く 本物の家を作る大工さんが大道具方だった。それが時代の流れと共に今のような専門職と発展した。 その時代の名残が計測には今だに尺貫法を使うし、道具の名前も歌舞伎舞台から来た古称が多々ある。
いわゆる縁の下の力持ち的存在の仕事が大道具なのである。勿論、小道具、照明、音効、 衣装、メイク、植木など沢山の裏方さんもいる。ある意味地味な仕事ではあるが、 表現の情景を演出する上では重要な役割的存在である。
裏から見れば裏方さんは表方、演者は裏方と見えなくも無い。 装置の壁板を挟んで表裏一体の阿吽の呼吸の仕事だ。 だから裏方は表方がいかに表現を自由に演じられるかを常に考えているし、 表方もいかにその舞台装置を駆使して演じるかを考える。
私たちが現在携わっているテレビの世界ももう半世紀を迎えた。 電波を通して映像を送るという世の中の文明の利器と共に発展してきたテレビの世界。 間もなくデジタル放送も本格化する。このコンピューター時代に、私たち大道具は文明の 恩恵をあまり授からない分野だが、人間の手で作るという言わばアナログ的要素が あるからこそ大道具の存在があるのだと思っている。